「発達障害やASDがあると、社会で適応するのはやっぱり難しいのだろうか」――そう感じて検索されたのではないでしょうか。
「真面目にやっているのに評価されない」「なぜか邪険にされる」「可愛げがないってなに?」「コミュニケーションスキルって具体的に何?」そんな声を、臨床の現場でも何度も聞いてきました。
結論から言えば、発達障害(ASD)があっても社会で適応することは可能です。しかも、無理に性格を変える必要はありません。ポイントは、“可愛げ”の正体を理解し、受け答えスキルを具体的な行動として身につけることです。
この記事では、ASDの特性と社会とのズレを整理しながら、職場で認められる働き方につながる5つの具体策をお伝えします。読んだあとに「これならやれそう」と思える内容に絞って解説します。
あるいは、ASD特性の方の理解やお仕事を円滑にするために読み進めるのもよいかもしれません。(今回は診断基準のお話はなく、あくまで社会でうまくやれたらなぁというお話で進めます)
発達障害(ASD)が社会で適応するのが難しいと言われる理由とは
ASDの特性と「社会で適応する」ことのズレ
まず前提として、ASDの特性そのものが“悪い”わけではありません。問題になるのは、社会の暗黙の前提とズレやすい点です。
たとえばこんなやり取りです。
上司「いい感じにまとめておいて」
本人「いい感じって、どのレベルですか?」
この時点でズレが生まれています。社会で適応するとは、実は「曖昧さを補完する力」も求められるということです。
曖昧な指示が理解しづらい背景
ASDの方は、言葉を正確に受け取る傾向があります。抽象的な表現やニュアンス重視の指示は、解釈の幅が広くなりすぎます。その結果、「動きが遅い」と誤解されることもあるでしょう。
暗黙のルールに気づきにくい理由
職場にはマニュアルに書いていないルールが存在します。
「この人には今話しかけないほうがいい」とか、「会議ではまず上司を立てる」などです。
これを自然に読み取れる人もいれば、気づきにくい人もいます。ここに適応の難しさが生じるのです。
「可愛げがない」と誤解されやすい構造
「仕事はできるのに、なぜか距離を感じる」
そんな評価を受けるケースがあります。
表情・声のトーン・リアクションの問題
リアクションが控えめだと、冷たい印象に見える場合があります。本人は真剣なだけなのに、周囲は「そっけない」と感じることがあるのです。
それから、普段のあいさつなどのコミュニケーションが苦手というか、あまりしない人がいることもあります。
本人の真面目さとのギャップ
ASDの人は責任感が強い傾向があります。ところが、その真面目さが「融通が利かない」と解釈されることもあります。ここで「可愛げがない」という言葉が出てきやすいのです。
社会で適応するために必要な「可愛げ」の正体
可愛げ=性格ではなく“伝え方”の工夫
可愛げは生まれつきのものではありません。
これはスキルです。
「え、スキルなんですか?」
そう思われるかもしれませんが、答えはYESなんです。
素直さを言葉にする方法
たとえば、
「ありがとうございます。勉強になります」とニコッとする。
「まだ慣れていないので、教えてもらえると助かります」
こうした一言を添えるだけで、受け答えスキルは大きく変わります。内面の誠実さを“見える形”にすることがポイントです。
感謝とねぎらいを具体化するコツ
「助かりました」よりも、
「この資料があったので、スムーズに進みました」と具体化すると伝わり方が違います。
これが可愛げの正体です。
これはASDだとしても相手から心地よく受け取れれば良いことなんです。
ASDでも実践できる可愛げの行動例
クッション言葉の活用
「恐れ入りますが」
「確認させてください」
こうした言葉を前に置くだけで、印象は柔らかくなります。直接的な表現を少し包むだけで、社会での適応度は上がります。
小さな報告・相談を増やす習慣
上司「今どうなってる?」
本人「もうすぐ終わります」
これだけだと不安が残ります。
「現在7割完了しています。明日午前中には提出できます」
ここまで言えると、評価は変わります。小さな共有が信頼を積み重ねます。
そして、笑顔が一番
自分独特の趣味のものと対峙した時でもよいですし。
たまたま会社にあったものに対してときめいたものでもよいです。
なんか周囲が、こんなことで喜ぶなんてかわいいなと思えるのもかわいげの一つです。ぜひこのスキルは欲しい!
あー。あなたこれ、好きなんだね~的な。
困ったときは、ヘルプを出す!
東京都の教育委員会ではSOSの出し方に関する教育を推進しています。
自殺対策のためでもありますが、それ以外にも、危機的状況に対応するために、適切な援助希求行動ができるようにしていくものです。大人になってからも使える!
おおまかに大抵は困った人がいて、助けてほしいという要請があれば、ある程度の人は、助け船を出す。そういうことが多いです。助けた人も、その行為で自分自身の承認欲求を満たすこともできます。助けてもらうなんて・・・とためらわずに、お願いしてみることも”可愛げ”の一つですね。
発達障害(ASD)の人が磨くべき受け答えスキル5つの具体策
①結論から話すスキル
「結局どうなの?」と聞かれた経験はありませんか。
社会で適応するためには、話の順番が重要です。
PREP型で話す基本構造
結論→理由→具体例→再結論。
この流れを意識するだけで、伝わりやすさが上がります。
②相手の意図を確認する質問力
「つまり、〇〇という理解で合っていますか?」
この一言が誤解を防ぎます。
オウム返し+要約の技術
相手の言葉を繰り返し、短くまとめる。
シンプルですが強力な受け答えスキルです。
③ワンクッション置く返答法
すぐ答えられない時もあります。
「一度持ち帰ります」の使い方
「少し整理してからお伝えします」
これで衝突は減ります。時間を確保することも適応の一部です。
④否定しないリアクション
「でも」「いや」は衝突を生みやすいです。
否定が入ると相手は気分を害します。
まず受け止める一言テンプレート
「ああ。そう言う感じですね。」
「そういう見方もありますね」
この一言で空気は変わります。
極端なモードに入ると、まじめすぎるがゆえに相手を批判するモードになってしまうこともあるので気をつけてみましょう。正しいこと、正義感も気を付けた方が、集団で適応するにあたっては配慮した方がいいでしょう。
⑤困りごとを言語化する自己開示力
「実は、口頭指示より文章のほうが理解しやすいです」
具体的に伝えると、周囲は対応しやすくなります。配慮はお願いして初めて成立します。
職場で認められる働き方を実現するための適応戦略
自分の特性を理解し強みに変える
発達障害やASDの特性には、集中力や継続力があります。
一人で深く掘り下げる業務では力を発揮しやすい傾向があります。
集中力・継続力を活かす配置
環境選びは重要です。適材適所に近づくと、評価は自然と安定します。
苦手領域を環境調整で補う
克服だけが方法ではありません。
業務の見える化・タスク管理術
タスクを書き出し、優先順位を明確にする。
視覚化はASDの特性と相性が良い場合があります。
評価されやすい行動パターンを意識する
報告・連絡・相談を丁寧に行う。
締切を守る。
感謝を言葉にする。
派手ではありませんが、確実に信頼につながります。
発達障害(ASD)でも無理なく社会で適応するための考え方
適応=我慢ではないという視点
適応とは、自分を消すことではありません。
特性を理解し、工夫することです。
自己否定を減らすセルフケア
「自分はダメだ」と感じる瞬間はあるでしょう。
ただ、それは一部の場面にすぎません。
認知のゆがみを整える習慣
事実と解釈を分けて考える。
これだけでも心は軽くなります。
長期的に続く「適応」のために必要なこと
発達障害やASDがあっても、受け答えスキルは練習で伸びます。可愛げも習得可能です。社会で適応する力は、一気に身につくものではありません。
少しずつで大丈夫です。
一つ行動を変えるだけで、評価は静かに変わり始めます。
後少しだけ付け加えるとですが、
普段の挨拶、すれ違いざまの挨拶、空き時間に少し雑談ができるとさらに◯ですね。
東大生?ASDいます。
会社員にもASDいますが。
教員にもASDはいますが。
臨床心理士にもASDがいます。
私の職場でも、なかなか挨拶を返してくれないし、報告・相談もしてくれないので、困っていますが、本来、私たち病院内ではチームとして共存していく関係ではあるので、今回の見解は大事かなあと思います。
基本的にはラベルを貼って終わり、というより、人と人とが共存していくための理解や考え方を導き出していきたいと思っています。それは相手であったり、主には自分のコントロールというところが一番関われる領域であるのかなぁと思います。その中で、病院臨床、精神医学、臨床心理学などの概念を活かして、よりよく生きやすくいければいいのかなぁと思っています。
大体の認知行動療法の人は、より良く生きるための方略として心理療法をガイドしている節が多いです。私のガイドが皆様のより良くいきるためのきっかけにつながると幸いです。
佐々木。


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