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怒らない人になる必要はない|アンガーマネジメントの最初の一歩

アンガーマネジメント 怒り

「また怒ってしまった」

あとからそう思って、ちょっと落ち込んだこと、ないでしょうか。

家族に強く言いすぎた。
職場でイライラがそのまま顔や態度に出てしまった。
LINEを送った直後に「あ、これ送らないほうがよかったな……」ってなる。

逆に、本当は腹が立っていたのに、その場では何も言えなくて、我慢して、家に帰ってからずっとモヤモヤが抜けない。そういうパターンの人もいますよね。

怒りとの付き合い方って、人によってほんとバラバラです。

「アンガーマネジメント」って聞くと、

「怒らないようにする方法でしょ」

というイメージを持つ方、結構多い印象があります。

でも僕は、ちょっと違う捉え方をしています。

怒ることそのものを、なくす必要はないんですよね。怒りには怒りなりの役割があるので。

この記事では、怒りを無理やり抑え込むんじゃなくて、「怒りとうまく付き合う」ってどういうことなんだろう、というところを一緒に考えていきます。

そして、読んで「なるほどね」で終わらせたくないので、実際に使えるスキルもひとつ、ちゃんと持ち帰ってもらいます。

今回取り上げるのは、グラウンディングです。

目次

そもそも、なぜ私たちは怒るのでしょうか


たとえば、仕事を一生懸命やっているのに、誰かから雑に扱われたとします。

腹が立つ。

これ、そんなにおかしな反応じゃないんですよ。

「ちゃんと扱ってほしい」
「自分の努力を軽く見ないでほしい」

そういう思いがあるからこそ、怒りが出てくることがある。

家族との間でも同じです。

何度も約束を破られて腹が立った。その奥には、

「約束を大切にしてほしい」

という気持ちがあるのかもしれません。

話を途中で遮られて腹が立ったなら、

「最後まで話を聞いてほしかった」

のかもしれないし、勝手に何かを決められて腹が立ったなら、

「自分にも相談してほしかった」

のかもしれない。

怒りだけを見ていると、

「あの人ムカつく」
「もう無理」

で終わってしまいます。僕自身、水商売で働いていた頃、理不尽なお客さんに腹の中で舌打ちしていたことは正直ありました(笑)。でも、その少し奥を覗いてみると、

「自分は何を大切にしたかったのか」

が見えてくることがあるんですよね。怒りって、ときどきそれを教えてくれる感情でもあります。

「怒らないほうがいい」とは限りません


もし、何をされてもまったく腹が立たなかったらどうでしょう。

理不尽な扱いを受けても何とも思わない。
何度約束を破られても気にならない。
自分が大切にしているものを傷つけられても「まあいいか」で終わる。

それ、必ずしも健康的とは言えないんです。

「それは嫌だ」
「そこまではされたくない」
「これはおかしい」

怒りって、自分にとって大切なものや、自分と相手との境界線を教えてくれることがあります。火災報知器みたいなものですね。うるさいけど、鳴るには鳴るなりの理由がある。

だから、「怒ってはいけない」って考えすぎなくて大丈夫です。アンガーマネジメントの目的は、いつもニコニコして何をされても腹を立てない人になることじゃないので。

困るのは、怒りに行動まで決められてしまうとき


腹が立った。ここまでは、ただの感情です。

でも、その直後に何をするかは別の話なんですよね。

「ふざけるな!」と怒鳴る。
物に当たる。
勢いのまま長文LINEを送る。
「もういい」と関係を切る。

逆に、全部飲み込んでしまう人もいます。そして少し時間が経ってから、

「あんな言い方しなければよかった」
「あのLINE、送らなければよかったな」
「本当は嫌だったのに、また何も言えなかった」

と後悔する。

考えてみると、僕らが困っているのは、怒ったこと自体じゃないのかもしれません。怒りが強くなったとき、本当はしたくなかった行動までしてしまう。ここが、生活や人間関係をこじらせるんですよね。

だとしたら目指すところは、「二度と怒らない」じゃないんです。

怒っていても、自分で次の行動を選べること。

ここが、アンガーマネジメントの一番大事なところだと僕は思っています。

でも、怒っている最中に「冷静に考える」のは難しい


ここで、ちょっと困ったことがあります。

怒っている真っ最中に「冷静に考えよう」と思っても、なかなかできないんですよね。これ、精神論でどうにかなる話じゃないんです。

たとえば職場で、時間をかけて作った資料を上司に見せたとします。すると、

「これ、本当に確認した?」

と言われた。しかも、ちょっと小馬鹿にしたような言い方だった。

カッとする。

「確認したに決まってるだろ」

と頭に浮かぶ。そこから、

「昨日からずっとやってたのに」
「この人、いつもこうだ」
「前も似たようなことあったな」

と、どんどん考えが広がっていく。

そんな状態で「物事を客観的に考えてみましょう」と言われても、難しいですよね。頭ではわかっていても、感情がガンガン動いているときには、その通りにはできないものです。

だから、いきなり考え方を変えるところから始めなくていい。その前にできることがあります。

このシリーズでは「実際に使えるもの」を一つずつ


このシリーズでは、アンガーマネジメントの知識だけじゃなくて、認知行動療法(CBT)の考え方やスキルも取り入れていきます。

CBTという言葉を知らなくても、まったく問題ありません。専門用語を覚えることが目的じゃないので。

大切にしたいのは、

「実際に腹が立った。そのとき、自分は何をすればいい?」

というところです。

怒りって、こっちの準備が整ったタイミングでやってきてくれるわけじゃないですよね。仕事中。家族と話しているとき。電車の中。スマホを見ているとき。日常のど真ん中に、突然入り込んでくる。

だからこそ、日常の中でパッと使える形にしておく必要があります。

一つの記事を読んだら、一つ試せることが増える。このシリーズでは、そんな形で怒りとの付き合い方を扱っていきたいと思っています。

最初に扱うのは「グラウンディング」です


今回、最初のスキルとして選んだのは、グラウンディングです。

聞いたことない方、多いと思います。今は、それで全然大丈夫です。

今回の記事では、「グラウンディングとは○○です」と知識だけ説明して終わりにはしません。

ここから先の有料部分では、実際にその場で試せるところまで一緒にやっていきます。

具体的にどうやるのか。
どこに注意を向ければいいのか。
実際にやると、身体ではどんな感じがするのか。
「やってみたけど、よくわからない」ってなったときはどうすればいいのか。
職場みたいに人がいる場所では、どう使うのか。
LINEを読んでカッとしたときは、どう応用するのか。
やってみても気持ちが強いままだったら、どうするのか。

できるだけ、実際の生活に近いところまで落とし込んでいきます。

そして今回は、グラウンディングをやって終わりにはしません。少し自分を取り戻したあとに、

「私は、何にこんなに腹が立ったんだろう?」

というところまで進みます。そこから、

「本当はどうしてほしかった?」
「自分は何を大切にしていた?」

まで見ていきます。怒りをただ抑えるんじゃなくて、怒りを自分が望んでいる方向へ使い直していく。そこまでが、今回の実践です。

アンガーマネジメントについて「知っている」んじゃなくて、次に気持ちが大きく動いたとき、ひとつ使えるものを持っている。この記事を読み終えたとき、そんな状態になってもらえたらと思っています。

グラウンディングとは?――「考え」と「今ここにある現実」を分けてみる


ここからは、実際にグラウンディングをやっていきます。

その前に、ひとつだけ知っておいてほしいことがあります。それは、

「頭の中で考えていること」と「今ここで実際に起きていること」は、同じではない

ということです。

さっきの職場の場面を使ってみましょう。上司から、

「これ、本当に確認した?」

と言われた。ここから、頭の中ではいろいろなことが起こります。

「馬鹿にされた」
「信用されてない」
「この人、いつもこうだ」
「前にも同じようなこと言われた」
「どうせ自分のこと評価してないんだ」

こういう考えが出てくるかもしれません。

ここで、「そんなふうに考えるのは間違ってます」なんて言うつもりはまったくありません。本当に失礼な言い方だったのかもしれない。実際に以前から似たようなことが続いているのかもしれない。

大切なのは、正しいか間違っているかを今すぐ決めることじゃないんです。

一度、分けてみます。

頭の中にあるもの

「馬鹿にされた」
「信用されてない」
「この人はいつもそうだ」
「また同じことが起きた」

今ここにある現実

自分はいま職場にいる。目の前には机がある。身体は椅子に触れている。相手がそこにいる。周りから音が聞こえている。自分の身体も、ここにある。

こうして並べると、少し違いが見えてきますよね。

前者は、頭の中で起きていること。後者は、今この瞬間、自分の身体や五感を通して確かめられること。

気持ちが強く揺れているときって、頭の中で起きていることが世界のすべてみたいに感じられることがあります。だから一度、「今ここにある現実」にも注意を戻してみる。

これが、今回行うグラウンディングです。

考えを消す必要はありません


ここ、かなり大事なので、ちょっと丁寧に言います。

グラウンディングは、「嫌なことを考えないようにしましょう」という方法じゃありません。考えを追い払う必要もないんです。

「馬鹿にされたと思ったのはあなたの勘違いです」

なんて否定する方法でもありません。

頭の中では、

「いや、やっぱりあの言い方は腹立つな」

と思っていて、それで構わないんです。その考えを残したまま、今この瞬間に実際に入ってきている刺激にも、注意を向けてみる。考えだけだった世界に、今ここにある現実をもう一度入れていく。そんなイメージです。

だから、これは怒りだけに使うものでもありません。

不安で頭がいっぱいになっているとき。嫌な出来事が何度も頭に浮かんでくるとき。焦って今すぐ何かしなきゃと思っているとき。感情が大きく揺れて、自分でもどうしたらいいかわからなくなっているとき。

そんなときにも使えます。

では、30秒だけ一緒にやってみましょう


ここからは、読むだけじゃなくて、できれば本当に試してみてください。

今この記事をスマホで読んでいるなら、そのままで大丈夫です。座っている方は、両足を床につけてみます。

まず右足。ほんの少しだけ、床を押してみてください。グッ。強く踏みつける必要はありません。

どうでしょう。足の裏に何か感じますか。

床の硬さ。かかとにかかっている重さ。足の指の付け根。靴下が皮膚に触れている感じ。靴を履いているなら、靴の中で足が包まれている感じでも構いません。

「よくわからない」という人もいると思います。それで大丈夫です。特別な感覚を探す必要はありません。ただ、

「右足がここにある」

と確認するだけです。

次は左足。少しだけ床を押します。右と左で違いはありますか。

右のほうが感じやすい。左のほうに体重が乗っている。特に違わない。何でも構いません。正解はないので。

右足。左足。床。自分の身体が、今ここにあります。

次は、目を使います


一度だけ、画面から目を上げてみてください。

何が見えますか。壁。机。カーテン。ペットボトル。パソコン。電車の中なら、前の座席やつり革。何でも構いません。

ひとつだけ選びます。白い壁なら、

「白い壁がある」

と確認する。もうひとつ、

「茶色い机がある」

良いとか悪いとか、好きとか嫌いとかは考えなくて大丈夫です。ただ、そこにあるものを見る。それだけです。

今度は、音をひとつ探してみます


少しだけ耳を澄ませてみてください。何が聞こえるでしょう。

エアコンの音。冷蔵庫の低い音。外を走る車。人の話し声。パソコンのファン。服が擦れる音。

ひとつ見つかったら、

「あ、車の音がする」

そのくらいで十分です。

そして、もう一度身体へ戻ります。右足。左足。床。

ここまで、ほんの数十秒です。

何か変わりましたか?


ここで、少しだけ自分の状態を見てみてください。

ものすごくリラックスしたでしょうか。たぶん、そこまでではないと思います。何も変わった気がしない人もいるでしょう。それで失敗ではありません。

グラウンディングでは、「気持ちよくならなければいけない」「リラックスしなければいけない」ということはないんです。

先ほどの数十秒間、あなたの注意は、足。床。目の前にあるもの。聞こえている音。そういうものにも向いていました。

もし、その直前まで何か考え事をしていたとしたら、その数十秒だけでも、頭の中のこと以外にも注意を向けていたことになります。

まずは、それで十分です。

「よくわからない」という人へ


グラウンディングをするとき、

「足の裏を感じるって何?」

となる方もいます。大丈夫です。無理に身体の感覚を探さなくても構いません。

そんなときは、見えるもの。聞こえるもの。触れているもの。自分がわかりやすいものから始めてください。

たとえば、

「赤いペンがある」
「時計の音がする」
「スマートフォンが手に触れている」

これでも構いません。グラウンディングに、特別な感覚は必要ないんです。今ここで実際に確かめられるものに注意を向ける。そこがポイントです。

実際の職場では、もっと短くていい


もちろん、職場で嫌なことを言われたときに、ここまで丁寧にはできませんよね。上司が目の前にいるのに、

「では今から30秒グラウンディングします」

とはいかない(笑)。

本番では、一つでも構いません。自分にわかる程度に、今ここにある刺激へ注意を向ける。相手から見れば、特別なことをしているようには見えないくらいで十分です。

そして、

「自分はいま、かなり腹が立っている」

と気づく。それだけでも、反射的に行動するまでに小さな間ができることがあります。

LINEやメールでカッとしたとき


これは、かなり使いやすい場面です。

LINEを開いた。嫌な文章が届いている。カッとする。すぐ返信を書き始める。

そんなとき、送信する前にグラウンディングを入れてみます。今ここにある刺激へ少し注意を戻す。そして、

「いま自分はかなり腹が立っている」

と確認する。そのうえで、どうするかを選びます。

今返す。10分後に返す。明日返す。電話にする。返さない。

どれが正解ということではありません。大切なのは、怒りに決めてもらうんじゃなくて、自分で選ぶことです。

家族との言い合いではどうする?


家族との間では、もっと難しいことがあります。距離が近いからです。

「また?」
「何回言ったらわかるの?」

そんな一言で、一気に感情が上がることもありますよね。

そのときも、考えを無理に変える必要はありません。まず今ここにあるものへ少し注意を戻す。それでも気持ちが強いなら、

「今ちょっとイライラしているから、少ししてから話したい」

と、その場からいったん距離を取ることもできます。

グラウンディングは、何が何でもその場に居続けるための技法ではありません。次にどうするかを自分で選べる状態に戻るための、一つの方法です。

怒りが大きくなる前の「サイン」を見つける


グラウンディングは、気持ちが限界まで高まってからしか使えないものではありません。むしろ、

「あ、ちょっとイライラしてきた」

くらいで気づけると、ぐっと使いやすくなります。

人によってサインは違います。顔が熱くなる。肩に力が入る。心臓が速くなる。早口になる。黙り込む。相手の言葉にかぶせて話し始める。頭の中で反論を作り始める。LINEの文章をものすごい速さで打ち始める。

自分にはどんなサインがあるでしょうか。

ミニワーク|自分の「サイン」を見つけてみる


最近、少し腹が立った出来事をひとつ思い出してみてください。大きな怒りでなくても構いません。

そのとき、身体はどうなっていたでしょう。

身体に出るサイン
________________

頭の中では、どんな言葉が出ていましたか。

頭に出るサイン
________________

そして、何をしたくなったでしょう。

行動に出るサイン
________________

これが、あなたにとっての「そろそろ気持ちが大きくなっている」というサインになります。次からは、このサインに気づいたときが、グラウンディングを思い出すタイミングです。

―――

グラウンディングをしても気持ちが強いままだったら


これも、かなり大事な話です。

やってみた。でも、

「まだめちゃくちゃ腹が立っている」

ということはあります。それで失敗じゃないんです。グラウンディングは、怒りを10から0にする魔法ではないので。

10が8になるかもしれない。10のままかもしれない。

それでも、

「自分はいま、ものすごく怒っている」

と気づけている。怒りに完全にのみ込まれている状態と、怒っている自分に気づいている状態。ここには、小さいけれど大切な違いがあります。

それでも、

「このままだと言いすぎそう」
「何かしてしまいそう」

と思うのであれば、可能ならその場から少し距離を取ることも選択肢です。トイレに行く。飲み物を取りに行く。返信を保留する。「少ししてから話したい」と伝える。

グラウンディングだけですべてを解決しようとしなくて大丈夫です。

―――

「我慢するための技法」にはしない


もうひとつ、覚えておいてほしいことがあります。

嫌なことをされた。グラウンディングをする。我慢する。また嫌なことをされた。グラウンディングをする。また我慢する。

これでは、アンガーマネジメントとはちょっと違うんですよね。

本当に理不尽な扱いを受けているのであれば、相手に伝える。距離を取る。誰かに相談する。環境を変える。そうした行動が必要になることもあります。

だからこそ、グラウンディングのあとに、もう一つやってみます。

―――

「何が嫌だった?」と聞いてみる


少し自分を取り戻せたら、自分に聞いてみます。

「私は、何がそんなに嫌だったんだろう?」

上司の例なら、「言い方が嫌だった」かもしれません。もう少し考えると、

「ちゃんと仕事をしていない人みたいに扱われた気がした」

なのかもしれない。さらに、

「昨日から頑張っていたことを、少しは認めてほしかった」

があるかもしれません。

「あいつがムカつく」だけだったものから、自分が大切にしていたものが少しずつ見えてくる。こういう瞬間、相談の中でも何度も見てきました。

―――

もうひとつ。「本当はどうしてほしかった?」


次に、

「本当は、どうしてほしかった?」

と聞いてみます。

約束を破られた。「約束を大切にしてほしかった」
勝手に仕事を決められた。「自分にも相談してほしかった」
話を遮られた。「最後まで話を聞いてほしかった」
雑に扱われた。「もう少し丁寧に扱ってほしかった」
頑張ったのに何も言われなかった。「少しくらい認めてほしかった」

この答えが見つかると、次に何をするかも少し考えやすくなります。

―――

怒りを、自分が望む方向へ向け直す


「勝手に決められたことが嫌だった」とわかった。だったら、

「ふざけるな!」

ではなく、

「次からは、決める前に一度相談してほしい」

と伝えることができます。

「話を聞いてもらえなかったことが嫌だった」なら、

「まず最後まで聞いてもらってもいいですか」

と伝えることもできる。

毎回こんなにきれいにできるわけじゃありません。それでいいんです。

それでも、

怒り → そのまま行動

だったところに、

怒り → 今ここに戻る → 自分の状態に気づく → 何が嫌だったのかを見る → 次の行動を選ぶ

という別の道を作る。これが今回の練習です。

―――

自分だけの「思い出す合図」を決めておく


最後に、ひとつだけ準備しておきましょう。

怒っている最中に、この記事の内容を全部思い出すのは難しいです。だから、自分だけの合図をひとつ決めます。

たとえば、「ちょっと待つ」「今ここ」「一回戻る」でも構いません。あるいは、「肩に力が入ったら」「声が大きくなりそうになったら」「LINEをすぐ返したくなったら」という、自分のサインを合図にしてもいいでしょう。

私がグラウンディングを思い出す合図
________________

一つだけ決めてみてください。

―――

今日から完璧にできなくていい


次に腹が立ったとき、全部できなくても構いません。むしろ、

「あ、完全に忘れてた」

となることもあると思います。それでも、あとから、

「あそこが自分のサインだったな」

と気づく。次は少し早く気づく。その次は、その場で思い出せるかもしれない。

スキルって、知った瞬間に身につくものじゃないんですよね。何度か試しながら、少しずつ自分のものにしていくものです。

―――

## 怒らない人ではなく、怒りを扱える人へ

嫌なものは嫌でいい。腹が立つこともあります。理不尽なことに「それはおかしい」と思えることも、大事な感覚です。

アンガーマネジメントは、その感覚をなくすためのものではありません。今回やったのは、怒りを押さえつけることでもありません。

頭の中でいろいろな考えが広がっているときに、「これは今、頭の中で起きていること」と少し分けてみる。そして、「では、今ここに実際にあるものは?」と、自分の身体や目の前の現実にも注意を戻してみる。

そこから、「私は何が嫌だったんだろう」「本当はどうしてほしかったんだろう」と考える。そして、自分で次の行動を選ぶ。

怒りをなくすのではなく、怒りに振り回されるのでもなく、怒りが教えてくれたことを、自分が望む方向へ使っていく。

このシリーズではこれからも、認知行動療法の考え方や具体的なスキルを交えながら、そんな「怒りとの付き合い方」を少しずつ扱っていきます。

知識を増やすだけじゃなくて、実際に気持ちが大きく動いた日に使えるものを、一つずつ。

まず今回は、グラウンディングから始めてみてください。

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この記事を書いた人

臨床心理士として20年ほど活動しており、病院、地域、教育の方面で、お子様から成人、高齢の方まで関わっていました。医療・精神科・メンタルヘルス・認知行動療法に強い記事を執筆✍️ 子育て/発達支援/福祉の情報発信や、千葉・柏エリアの地域紹介も行います。
資格:臨床心理士・公認心理師・MOS

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