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ちゃんと働いているのに“働けていない気がする”人へ|プレゼンティーズムという見えない消耗

朝は起きられる。

会社にも行ける。

会議にも出ている。

周囲から見れば、特に問題なく働いているように見える。

けれど本人の中では、

「前みたいに頭が回らない」

「仕事が終わらない」

「集中できない」

「何をするにも時間がかかる」

そんな感覚が続いていることがあります。

精神科や復職支援の場面でも、このような相談を受けることがあります。

本人は休職するほどではないと思っている。

周囲も気づいていない。

それでも確実に以前とは違う。

こうした状態は、単なる気合いや努力の問題ではないかもしれません。

今日は「プレゼンティーズム」という考え方から、この見えにくい消耗について考えてみたいと思います。

目次

出勤しているから大丈夫とは限らない

体調が悪くて会社を休む。

これは比較的わかりやすい状態です。

一方で、

出勤している。

仕事もしている。

会議にも参加している。

でも本来の力が発揮できていない。

そんな状態があります。

プレゼンティーズムとは、健康上の問題を抱えながら働き続けることで、生産性や集中力が低下している状態を指します。

風邪や腰痛など身体的な問題だけではありません。

睡眠不足。

ストレス。

抑うつ状態。

不安。

こうした心の問題も含まれます。

そして実際には、欠勤による損失よりも、プレゼンティーズムによる損失の方が大きいと言われています。

40代になると増える「なんとなく以前と違う」

20代や30代前半の頃は、多少無理をしても何とか乗り切れていた人がいます。

夜遅くまで働く。

休日も仕事のことを考える。

多少寝不足でも頑張れる。

ところが40代になると少し事情が変わってきます。

仕事の責任は増える。

管理職になる。

部下の育成もある。

親の介護が始まる人もいる。

子どもの進学や家族の問題も出てくる。

抱えるものが増えていくのです。

その結果、

「ちゃんと働いているのに疲れが抜けない」

「以前のような集中力が続かない」

という状態が起こりやすくなります。

これは決して能力が落ちたという話ではありません。

背負っている負荷が変わっているのです。

頑張り屋さんほど気づきにくい

プレゼンティーズムが厄介なのは、自分で気づきにくいことです。

特に真面目な人ほどそうです。

責任感が強い。

迷惑をかけたくない。

弱音を吐きたくない。

そんな人ほど、

「まだ頑張れる」

と思ってしまいます。

実際には集中力が落ちている。

判断力も下がっている。

疲労も蓄積している。

それでも、

「もっと頑張らないと」

と考えてしまう。

するとさらに負荷がかかる。

この悪循環が続いてしまいます。

精神科で見かけるサイン

臨床の現場で話を聞いていると、休職前にはいくつか共通する変化が見られることがあります。

仕事が遅くなる。

ケアレスミスが増える。

以前はできていたことが億劫になる。

休日も回復しない。

趣味を楽しめなくなる。

人との連絡が面倒になる。

もちろん、これだけで病気だと決めることはできません。

ただ、

「最近ちょっと変だな」

という違和感は意外と大切です。

大きく崩れる前には、小さなサインが出ていることが少なくありません。

問題は気合いではなく回復力

こういう話をすると、

「もっと頑張らないといけないですね」

と言われることがあります。

けれど、多くの場合必要なのは追加の努力ではありません。

必要なのは回復です。

睡眠。

運動。

食事。

人とのつながり。

休息。

そして何より、

「疲れている自分を認めること」

です。

真面目な人ほど、

疲れていることを認めたがりません。

まだ頑張れる。

もっとやれる。

そう思ってしまいます。

けれど、車でもスマートフォンでも充電が必要です。

人間だけが例外ではありません。

ACTの視点から考える

ACTでは、

「痛みをなくしてから人生を生きる」

のではなく、

「痛みを抱えながらも大切な方向へ進む」

ことを大事にします。

ここで大切なのは、

無理をすることではありません。

自分の状態を正しく把握することです。

疲れているのに疲れていないふりをする。

苦しいのに大丈夫なふりをする。

これは価値に向かう行動ではなく、自分自身との戦いになってしまいます。

まずは、

「最近少し無理をしているかもしれない」

と認めること。

そこから回復への選択が始まります。

「まだ大丈夫」の前に立ち止まる

プレゼンティーズムは見えません。

周囲も気づきません。

だからこそ、自分自身が気づく必要があります。

もし最近、

仕事はできているはずなのに達成感がない。

以前より時間がかかる。

休日も回復しない。

そんな感覚が続いているなら、一度立ち止まってみてください。

それは怠けではありません。

弱さでもありません。

体や心が、

「少し休みながら進みませんか」

と教えてくれているサインなのかもしれません。

働けなくなってから気づく人は少なくありません。

だからこそ、

働けている今の違和感を大切にしてほしいと思います。

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この記事を書いた人

臨床心理士として20年ほど活動しており、病院、地域、教育の方面で、お子様から成人、高齢の方まで関わっていました。医療・精神科・メンタルヘルス・認知行動療法に強い記事を執筆✍️ 子育て/発達支援/福祉の情報発信や、千葉・柏エリアの地域紹介も行います。
資格:臨床心理士・公認心理師・MOS

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