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我慢でも自己主張でもない「アサーション」という伝え方

「嫌われたくなくて本音が言えない」——そんなあなたに知ってほしいのが、アサーションという考え方です。

目次

アサーションとは「自分も相手も大切にする」コミュニケーション

アサーションと聞くと「自己主張の技術」というイメージを持つ人もいるかもしれません。でも本来の意味は少し違います。

アサーションとは、自分の気持ちを率直に伝えながら、同時に相手の立場も尊重するコミュニケーションです。「自分だけが我慢する」のでも「相手を言い負かす」のでもなく、お互いを大切にするための伝え方。

相談の中で、「相手を大切にすることと、自分を大切にすることは両立できますよ」とお伝えすることがあります。どちらか一方だけを守ろうとすると、人間関係は長続きしません。アサーションは、そのバランスを取るための考え方でもあるんです。

我慢・攻撃・アサーション、3つの伝え方の違い

コミュニケーションには、大きく分けて三つのパターンがあります。

非主張型

言いたいことを我慢し、自分より相手を優先します。一見、人間関係は穏やかに見えますが、心の中では不満や疲れが蓄積しやすくなります。

攻撃型

自分の考えを強く押し通し、相手を責めたり支配したりする伝え方です。一時的に思い通りになることはあっても、信頼関係は築きにくくなります。

アサーション

自分の意見を伝えながら、相手にも配慮する姿勢です。「今日は予定があるので難しいです。」「今は対応できませんが、明日ならできます。」このように、断ることと相手を尊重することは両立できます。

ケースで見る、伝え方の違い

例えば、上司から急な残業を頼まれた場面を考えてみます。

非主張型の人は、「大丈夫です」と引き受けたうえで、心の中で不満を溜め込みます。攻撃型の人は、「なんでいつも急なんですか」と相手を責める言い方になりがちです。

一方、アサーションでは、「今日は先約があって難しいのですが、明日の朝一番でしたら対応できます」というように、事情を伝えながら代替案を提示します。

同じ「断る」という行為でも、伝え方によって相手の受け取り方も、自分の心の負担も、大きく変わってくるんですね。

なぜアサーションは人間関係を改善しやすいのか

人間関係は、「何を言うか」だけで決まるものではありません。同じ内容でも、伝え方によって相手の受け取り方は大きく変わります。

アサーションでは、相手を否定するのではなく、自分の気持ちを誠実に伝えることを大切にします。そのため、お互いの誤解が減り、信頼関係が築きやすくなるんですね。

もちろん、一度伝えたからといって、すべての人が理解してくれるわけではありません。それでも、自分の気持ちを少しずつ表現できるようになると、「我慢し続けるしかない」という状態から抜け出しやすくなります。

アサーションを身につける3つのメリット

① 自分の気持ちを我慢しすぎなくなる

「このくらいなら」「断ったら悪い気がする」という積み重ねは、小さくても確実に心へ負担をかけます。アサーションを身につけると、「自分はどう感じているのか」を意識する機会が増え、無理をしていることに早く気づけるようになります。

相談室でも、「断れるようになった」という変化より、「自分の気持ちに気づけるようになった」という変化の方が大きいと話す方は少なくありません。

② 相手との信頼関係が築きやすくなる

何を考えているかわからない相手より、穏やかに自分の考えを伝えてくれる人の方が、信頼されやすいことがあります。仕事を頼まれたときに無理をして引き受けると、期限を守れなかったり、心の余裕を失ったりすることがあります。率直に伝えられれば、相手も予定を立てやすくなり、結果として関係を長く続けるための土台にもなります。

③ ストレスや自己嫌悪が減る

「また断れなかった」「結局、自分が悪い」という考えが続くと、自信を失い、ストレスも増えていきます。アサーションを身につければ悩みがすべてなくなるわけではありませんが、「言えなかった後悔」は少しずつ減っていきます。

自分を守ることは、わがままではありません。自分を大切にすることは、相手を大切にしないことではないからです。

次回は、今日から使えるアサーション実践法と、そのまま使える例文をご紹介します。

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この記事を書いた人

臨床心理士として20年ほど活動しており、病院、地域、教育の方面で、お子様から成人、高齢の方まで関わっていました。医療・精神科・メンタルヘルス・認知行動療法に強い記事を執筆✍️ 子育て/発達支援/福祉の情報発信や、千葉・柏エリアの地域紹介も行います。
資格:臨床心理士・公認心理師・MOS

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